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知っているようで知らない、M.O.F.(フランス国家最優秀職人章)とは?

2014.12.29

2011年M.O.F.コンクールのグラシエ部門で日本人初のファイナリストとなった「ヨシノリ アサミ」の浅見欣則さん。現在は日本を拠点に、自身のブランドを展開する傍ら、製菓学校の講師や企業の商品開発にも関わる。

2011年M.O.F.コンクールのグラシエ部門で日本人初のファイナリストとなった「ヨシノリ アサミ」の浅見欣則さん。現在は日本を拠点に、自身のブランドを展開する傍ら、製菓学校の講師や企業の商品開発にも関わる。

クリスマスが過ぎると、サロン・デュ・ショコラ2015の開幕が近づいてきます。今回も多くのブランドが登場し、待ち遠しい方も多いでしょう。

さて、多くの海外ブランドが参加するなか、やはり注目されるのがM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)の肩書きをもつシェフ。フランス国家にその腕を認められた職人のつくるチョコレートは、やはり一味違う……と、サロン・デュ・ショコラでもM.O.F.シェフのブランドはいち早く売り切れる傾向も。

では、その「M.O.F.」について、どのくらいご存知でしょうか?
フランス・ストラスブールにある「キュブレー」でシェフパティシエとして活躍し、M.O.F.のグラシエ(氷菓)部門で外国人初のファイナリストに選ばれた「ヨシノリ・アサミ」の浅見欣則さんに、その“実際”を伺いました。

90年以上の歴史を誇る、フランス国内で最も価値あるタイトル

M.O.F.(Meilleur Ouvrier de France)は、フランス文化庁の管轄下にある、フランス文化のもっとも優れた継承者にふさわしい、高度の技術をもつ職人に授与される称号です。1913年、フランスの伝統文化を保護する目的で運動がスタートし、1924年に第1回手工芸大展示会が開催されました。料理部門が有名ですが、実際には工芸、ガーデニングなど多岐にわたる職種が指定されています。

とくに注目されるのが料理部門に属する、ショコラティエ、パティシエ、グラシエ(氷菓)のデセール部門です。ショコラティエ部門はファブリス・ジロット、フィリップ・ベル、パトリック・ロジェ、クリスチャン・カンプリニ、フランク・ケストナーなど。パティシエ部門はマルク・ドゥバイヨル、ジャン=ポール・エヴァン、アルノー・ラエールなど、サロン・デュ・ショコラの常連シェフの名がずらりと並びます。

M.O.F.職人になるまでの遠い道のり

では、M.O.F.の肩書きはどのようにすれば獲得できるのでしょうか?
「スパンが長い。やることが膨大。人の手助けが絶対必要。この3つがM.O.F.の特徴ですね。」と浅見さん。

M.O.F.のコンクールは3〜4年ごとに行なわれ、出場者は2〜3年以上の長い期間をかけて技術を競います。まず、最初の難関が、「出願条件をクリアすること」。フランスで5年以上働き、過去に著名なタイトルを持っていることと、フランス人の後見人がついていること。そこで初めて書類審査を受けてもらえます。書類には応募者が働いている店のシェフなど、指導者の推薦状が必要です。

書類審査を通過したら、いよいよ予選。筆記試験はもちろんフランス語ですが、論文ではフランスのパティスリーの歴史や、フランスにおいてM.O.F.が今度どうあるべきかなど、フランスの食文化への深い理解が求められます。また、菓子の製造に関わる理論が重視されるのがM.O.F.の特徴。浅見さんが受けたグラシエ部門では、アイスクリームをおいしく作る上で必要な乳脂肪分や糖度などの計算式を頭に入れていること。ショコラティエであれば食材に含まれる油脂のパーセンテージなどを頭に入れ、どう配合すればおいしいチョコレートが作れるか、即座に計算できる能力が求められます。

M.O.F.の実技試験では、栄養士や保険師が調理方法のチェックを行なう。

M.O.F.の実技試験では、栄養士や保険師が調理方法のチェックを行なう。

筆記試験のあとは2日半にわたる実技試験が行なわれ、それを通過して初めてファイナルに残ることができます。実技ではテーマに沿った細工(浅見さんの場合は氷彫刻)、アントルメ、ボンボンショコラ、プティガトー、焼き菓子などを規定の数や大きさに合わせて審査員の前で作り、味や芸術性だけでなく、作業中の様子やアピール力も厳しく審査されます。

2011年M.O.F.ファイナルの授賞式。

2011年M.O.F.ファイナルの授賞式。

予選通過の後はさらに過酷なセミファイナルの試験、その発表後、数ヵ月を経て、残った約1割がファイナルの試験に臨みます。セミファイナルからは部門ごとに文化省の官僚が審査に立ち会い、その場で手渡されるシークレット問題があるなど、さらにハードな内容に。ファイナルの実技試験では審査員の5割が文化省の官僚や有識者、残りの5割がその部門のM.O.F取得者となり、口頭試問でもフランスの食文化の正統な後継者となりうるか、厳しい審査が行なわれます。合格者は大統領官邸のエリゼ宮にてメダルが授与され、トリコロール衿のコックコートの着用が許されます。

なお、使用する材料や道具などはほぼ自前。ファイナルの会場へは、出場者1人につき4トントラック1台に材料や道具を詰め込んで臨むのだとか。費用の面でも、出場者には重い負担となります。

多くの試練をくぐり抜けた者だけが取得できるM.O.F。他の菓子コンクールとは一線を画していることがお分かりいただけたでしょうか?

現在は日本を拠点に活動中の浅見さんは、自身のブランド「ヨシノリ・アサミ」でサロン・デュ・ショコラにも登場。アルザス地方の思い出の食材を使用したボンボンショコラの「ショコラアソート」(8個入り3,000円)をはじめ、「サブレ・ブレッツェル」(6枚入り1,700円、12枚入り3,000円)などのほか、オリジナルチョコレートアイスも提供し、グラシエとしての腕を披露されます。お楽しみに!

オリジナルチョコレートアイス
「ショコラアソート」「サブレ・ブレッツェル」

※掲載の記事やブランドは実際の出展とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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