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チョコレートの歴史(2)
〜飲み物から魅惑の食べものへ〜

2014.12.10

18世紀のチョコレート

ヨーロッパ各地に伝わったチョコレートですが、18世紀〜19世紀の初頭まではまだまだ飲み物として楽しまれてきました。が、私たちの親しんでいるホットチョコレートとはほど遠いものでした。カカオバターが含まれているため、どろっとした濃厚なもので、舌触りもざらついていたようです。当時は飲みにくさを和らげるため、脂肪分に作用するでんぷん質、メキシコのトウモロコシの粉などを添加されていたそう。それでも消化の悪いものだったようです。

チョコレートの「4大発明」

19世紀に入ると、チョコレートの「4大発明」と呼ばれている技術革新により、チョコレートづくりは大きな進歩をとげます。

1.ココアの発明

19世紀末にイギリスで売り出されたヴァンホーテンココアのラベル。

19世紀末にイギリスで売り出されたヴァンホーテンココアのラベル。

1828年、オランダ人のクンラート・ヴァン・ホーテンは、チョコレートの製造を現在につなげるココアの発明をしました。それまで飲みにくかったチョコレートから、油圧式の圧搾機を開発してココアバターを取り出し、低脂肪のココアの塊(カカオマス)を残したのです。彼はさらに、カカオ豆の“ダッチング”というアルカリ処理の工程を編み出しました。カカオに含まれる酸を中和することで、純度を高め、液体と混ざりやすくし、飲みやすい、消化のよいココアが誕生しました。

2.固形チョコレートの発明

19世紀末〜20世紀には、豪華なデザインの箱入りのアソート・チョコレートが競って作られた。19世紀のスイス・スシャール社のボックスには、なんと本物の蝶が貼られている。

19世紀末〜20世紀には、豪華なデザインの箱入りのアソート・チョコレートが競って作られた。19世紀のスイス・スシャール社のボックスには、なんと本物の蝶が貼られている。

1847年、イギリスで初の「食べる」チョコレートが発売されました。薬局を経営していたイギリス人、ジョーゼフ・フライは、薬学の知識を生かし、カカオマスにココアバターを加えることで、チョコレートの成分を変えたのです。ココアバターを増やすことで、苦みが抑えられ、より多くの砂糖を加えることができるようになったのです。こうして冷やすと固まり、口の中では溶けるという、型抜きも可能な固形のチョコレートが生まれました。

3.ミルクチョコレートの誕生

スイス人のダニエル・ペーターが1875年、ミルクチョコレートを初めて販売しました。牧畜の盛んなスイスのレマン湖畔では、1819年にフランソワ・ルイ・カイエがスイス初のチョコレートの工場を作り、カイエの娘と結婚したのがダニエル・ペーターです。ダニエルは実家のろうそく工場を継いでいましたが、フランス・リヨンのチョコレート工場で働いた経験があり、就業後にチョコレートの試作を行なっていました。
当時、供給されていたカカオ豆の品種は、苦みの強いフォラステロ種。これを使った固形チョコレートは苦すぎるので、ミルクを加えることでまろやかな味わいになります。しかし牛乳と混ざりにくいという難点がありました。ここで「粉乳を混ぜてみては?」と助言をくれたのが近くに住む友人の薬剤師、アンリ・ネスレ。彼は薬局経営のかたわら、育児用の粉ミルクを開発していたのです。ここで粉乳入りのミルクチョコレートが誕生したのです。ネスレは育児用の粉ミルクを扱っていましたが、のちに国際的に有名な企業に成長しました。

4.コンチェの発明

ルドルフ・リンツが開発した、19世紀末の初期のコンチェ。

ルドルフ・リンツが開発した、19世紀末の初期のコンチェ。

現在、チョコレートの製造工程に欠かせないのが「精錬」(コンチング)です。カカオマスに砂糖や粉乳などを混ぜて細かくすりつぶすと、いったん粉末状になります。コンチングはこの粉末状チョコレートをかくはんしながら長時間練り混ぜ、しだいに液状に、なめらかにする工程です。
1879年にこのコンチングの機械、「コンチェ」を発明したのが、スイスのルドルフ・リンツ。当時の固形チョコレートはざらっとした舌ざわりが残り、飲むココアの方が人気だったともいわれています。リンツはパティシエとしての修業ののち、チョコレートの試作を行なっていました。実家の薬局を継いだ兄のところに、失敗作を持ち込んで助言を受けながら、科学的に分析し、加工プロセスが大切であることを突き止めたのです。のちに攪拌タイプの機械を開発。72時間連続で練り合わせてみたところ(偶然スイッチを切り忘れたため、という説もあり)、非常になめらかで香り高い、現在私たちになじみのあるタイプのチョコレートが生まれたのです。

このように、チョコレートは長い段階を経て、なめらかで口の中で溶ける、私たちの愛するおいしさに改良されてきました。なお、ひと口サイズのチョコレートの中に詰め物をした“ボンボン・ショコラ”は、ベルギーのノイハウスで1912年、「プラリーヌ」という名で発売されたのが最初とされています。

※掲載の記事やブランドは実際の出展とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

2014