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CACAO×パン特集

2021.01.18

パン・オ・ショコリやチョココロネなど、ブーランジェにとってチョコレートは定番の素材。そんな“おいしい関係”に料理人が加わり、素敵な世界が広がりました! 人気レストラン×ベーカリーのコラボレーションで贈る、イートインに参加のベーカリー3店をご紹介します。

<フジマル食堂×パーラー江古田>

パーラー江古田/パンを介して人々が集い・憩うベーカリーカフェ

江古田駅前の商店街を抜けた裏道に、ツタのからまる1軒の民家。軒先の藍色の暖簾をくぐると、レトロな飾り棚のガラス越しに、表情豊かなごつごつのパンたち。「パーラー江古田」は、2006年のオープン以来、全国のパン好きにこの地の名を印象づけたお店。

もともとカフェをやろうと思っていたという、オーナーシェフの原田浩次さん。カフェ巡りのかたわら、独学でパンを研究。そんな中、本場のエスプレッソを知りたくて、2か月滞在したイタリア。そこでバール文化に触れ、このバールの在り方こそ、自分が求めていたものだと気づいたのだそう。

原田シェフが思い描いたイタリアのバールは、人々が集う場所。地域に溶け込み、地元の生活のリズムのなかにあって、日本のいわゆるカフェや喫茶店よりももっと身近な存在。それは大好きな沖縄の、「パーラー」と呼ばれる簡易型飲食店のエスプリに近いもの。

その願いどおりパーラー江古田は憩いの場に。朝、エスプレッソをくいっと引っかける人、トーストセットをのんびり摂る人、あるいは昼時のサンドイッチ、午後はカフェとスイーツ、夕方にはチーズやパテでパン呑みと、人々は思い思いのスタイルで過ごすのです。

国産小麦の風味が主張する、存在感のあるパンたち

パンはバゲットやリュスティック、カンパーニュ、ライ麦や全粒粉を使ったものなど、ハード系をメインに約30種。パーラー江古田のハード系パンのテーマは「歯切れのよさ」。それゆえ生地は、グルテンが必要以上につながらないよう、粉と材料が混ざる程度にとどめ、高温でしっかり焼き込むスタイル。

噛むと厚みのあるクラストがガリッと砕け、クラムはふわっともっちり。一部のパンはクラストがかなりハード。でも、口の中が切れそうなくらいのこの硬さが、ここでしか出会えない類まれなる魅力。

さまざまな品種や生産者や栽培法、そして製粉方法など、数多くの国産小麦を試してきたという原田シェフ。現在、パンに使っている小麦は、北海道や長野など日本各地からの15種ほど。食感やふくらみ具合、やわらかさなど、個性が異なるこれらの粉の風味や特性を使い分け、パンに応じてブレンドして使用しているといいます。酵母も同じく、レーズン酵母と小麦酵母を使い分けたり、酵母2種を配合したり。

全粒粉にいたっては小麦粒の状態で仕入れ、店内奥の石臼で自家製粉。東京都、東久留米市産の小麦「農林61号」をはじめ、4種の小麦をあわせて一緒に挽き、フレッシュな挽きたてを使用しているのだそう。

「もっとそれぞれの農家と直接つながることで、かつてのような小さな生活サイクルを取り戻したいと思っているんです」と原田シェフ。政府の奨励品種外で補助金が降りないため、農家にとって栽培のメリットが少ない品種の小麦や古来種を、自分たちで買い取るシステムを確立しつつあるといいます。

ショコラな料理と武骨なパンの出会い

今回のサロン・デュ・ショコラでは、大阪の「フジマル食堂」とのコラボレーション。オードブル、スープ、メイン、デザートの4品それぞれに、料理と相性のいい、江古田パーラーのパンが添えられます。たとえば、「ゴボウのポタージュ カカオバターの香り」には、全粒粉など3種の粉をブレンドした生地に、胡椒の爽やかな辛味が広がる「カシューナッツと黒コショウのパン」。デザートの「ワインのためのパルフェ・オ・ショコラ」には、2種の粉をブレンドした生地に、ドライフルーツ&ナッツがぎっしり入った「フルッタ」を。

1月20日はイートインだけではなく、パンの販売も。パーラー江古田で定番のパンに加え、サロン・デュ・ショコラのためだけの、カカオを使ったスペシャルなパンも販売予定です!
※当日は12時~パンの販売を予定しています。

【1月20日(水)出店】

コース:オードブル、スープ、メイン、デザートの4品
(1人前)3,750円(税込) ※4品すべて単品での注文も可能

<Bread & Wine Cise×boulangerie bistro EPEE>

Cise/パンとワインで料理を謳う、根津の隠れ家ビストロ

上野公園の木立が影を落とす動物園通りを進むと、そこは下町の風情が残る根津界隈。ブルーグレーの外壁に、ひときわ目を引く木枠の大きなピクチャーウインドウ。その窓越しに見えるのは、カウンターの上に並ぶワインボトルとパンたち――。

2019年にオープンした「Cise(チセ)」は、しなやかな発想の料理をベースに、自家製パン&こだわりのワインが自慢のビストロ。オーナーシェフの宮武郁弥さんは、新富町の創作料理の名店「Coulis(クーリ)」で、昼は料理人、夜はソムリエとして腕を磨いたという経歴。

「家にいるように、くつろいで食事を楽しんでもらえるお店にしたかったんです」
北海道出身の宮武シェフ。Ciseとはアイヌ語で、「家」という意味なのだそう。実際、おひとり様でも気軽に立ち寄れそうなアットホームな雰囲気。

ベーカリー&ビストロという業態は数年来のブームですが、Ciseでは料理もパンも宮武シェフが1人でこなすというから驚き。パンは料理の引きたて役ではなく、立派な主役なのです。ポタージュには食パン、魚介の料理には青のり風味のチャバタと、料理にあったパンがサーブされます。ワインのセレクションは、小さな作り手の自然派ワインをメインに、王道の正統派ワインまでバリエーション豊か。長野や滋賀、北海道など、国産の個性的なワインも開拓中。

パンだけのテイクアウトも可能なので、地元のベーカリーとしての顔も。ランチが終わるころには、カウンターにパンが並びます。食パン、バゲット、チャバタやフォカッチャ、ブリオッシュなど、本日のパンが4~7種類。日によっては、アールグレー風味やチーズのチャバタ、黒糖のフォカッチャ、カシューナッツのリュスティックなどに出会えるかも。

Coulis時代に、パン作りを急に任されることになったという宮武シェフ。知識のない状態から独学でパンを研究するにつれ、粉や発酵、酵母、加水率などで仕上がりがまったく変わる、パンの世界の奥深さにハマったといいます。

Ciseのパンは、通常よりも水分量が多めの高加水パン。それゆえ生地はあまり捏ねず、カードを使ってやさしく畳むように。あとは生地にゆだね、低温でじっくり長時間発酵。こうして生まれるパンたちは、しっとり&もっちり食感。

パンに使う小麦粉はすべて故郷の北海道から。「タイプER」「春の香りの青い空」「春よ恋」など数種類の粉を、季節やパンによって使い分けています。酵母は、レーズン種にワインの搾り滓(かす)を加えたものを使用。芳醇なワインのような香りのこの酵母を使うことで、パンの風味に奥行きがでるのだそう。

チョコレートと魚介の未知なるハーモニー

宮武シェフのスタイルは、同郷の友人漁師から仕入れるホタテをはじめ、旬の魚介や野菜を使った創作料理が中心。水餃子やフォーなどを大胆に解釈したり、クミンやコリアンダー、レモングラス、柚子胡椒、ラー油などでエスニックなアクセントを利かせたり、遊び心にあふれています。

チョコレートやカカオは慣れ親しんだ素材と語る宮武シェフ。今回のサロン・デュ・ショコラでは、吉祥寺「EPEE(エペ)」のパンとのコラボレーションで、魚介×チョコレートという斬新な一皿が登場。カカオニブが入ったパンをフレンチトースト仕立てにし、白子のムニエルをのせ、オマール海老のフォンにチョコレートをあわせたソースをとろり。海老の濃厚な旨味に、カカオの風味がしっかり主張。仕上げにあしらうビーツパウダーは、ビーツにシェリー酒を振ってオーブンで乾燥させ、粉末にしたもの。「ビーツとは思えないフルーティーなカカオ風の酸味が生まれたので、この料理にあわせてみました」。

海老とチョコレートの相性や、パウダー化したビーツの風味を、ぜひ会場で体験してみてください。1月22日は、EPEEとCiseのパンたちにも出会えます。
※当日はEPEEとCiseのパンの販売を予定しています。

【1月22日(金)出店】

白子とカカオニブカンパーニュのフレンチトースト
海老とチョコレートのソース、マッシュルームのポタージュ
(1人前)¥2,500(税込)

<Blanc×KOMOPAN>

KOMOPAN/湘南とハワイが交錯する、ゆるやかな時間の流れるベーカリー

がたんごとんと江ノ電にゆられ、腰越駅に降り立つとふんわり磯の香り。ほどよいローカル感に気分をゆだね、海を背にして川沿いを5分ほど歩くと、クリーム色の板張りの外壁に、「KOMOPAN(コモパン)」の赤い文字。店内には、スローなハワイアンミュージックのBGMが流れ、正面にでんと構える木製キャビネットの上にずらりとパンが並んでいます。

「『ホノカアボーイ』の世界観がすごく好きで、店内も映画に出てくる映画館のイメージなんです」と語る、オーナーシェフの小森俊幸さん。ハワイの田舎町を舞台にしたこの映画にも登場する、ハワイ風揚げパン「マラサダ」は、店の一番人気。赤ちゃんのほっぺのようにぷくぷくに膨らみ、フレッシュでハリのある弾力。歯切れがよくて、揚げモノなのにすっきりした食感。食べ終わったとたんに、もう1つ食べたいなと手がのびてしまいそう。

横須賀の人気店「soil by HOUTOU BAKERY」でシェフを務めたのち、昨年8月末にこの地で独立したばかり。KOMOPANのKOMOはご自身の苗字と、ハワイ語の「仲間に加わる」「集う」を掛けあわせたもの。まだオープン数か月というのにお客さんは後をたたず、地元のパン屋さんとしてすっかり根づいているよう。

朝8時半のオープンから続々とパンが焼きあがり、昼に向けてはサンドイッチや惣菜系パンがピークに。食パンからハード系、クロワッサン、デニッシュ系、あんバターやシナモンロール、焼き菓子までラインナップは幅広く、ざっと50種類にもおよぶそう。ブリトーやホットドッグなど、ハワイで愛されるパンも多い。また、パンの姿からイメージしたハワイ語の名をつけたものもあり、プライスカードの説明を読みながら選ぶのも楽しい。

横須賀時代は地元野菜をふんだんに使い、カラフルに仕上げた惣菜系パンに力を入れていたという小森シェフ。KOMOPANでは一転してシンプルに。それはズバリ、「この店では小麦にこだわり、お客様に小麦を味わってほしいから」。

「品種や生産者によって、風味や窯伸びなど粉の特性がまったく違うんですよ」
パンに使う小麦は国産小麦オンリーで13種。北は北海道から南は九州まで自ら小麦探しの旅に出かけ、農家から直接仕入れ。「キタノカオリ」のような希少な小麦を扱えるのも、生産者との信頼関係があってのこと。

小森シェフのパンは、作りたいパンの食感や歯切れ、味わいのイメージに応じて、複数の粉をブレンドしていくのが基本。まず、単体の粉だけで食パンやバゲットを焼いてみて、風味や食感など、粉の特性を理解。そして内層、香り、味のバランスを考えながら、粉をブレンドしてレシピを組み立てていくのだといいます。

飾り棚の上で圧倒的な存在感をかもすサワードゥーにいたっては、小麦粒の状態で仕入れ、石臼で自家製粉しています。栃木と北海道産の粉をブレンドし、小麦から起こしたルヴァン種とレーズン酵母をあわせて使うことで、あまり酸味が強くないパンに仕上げているそう。

2人のシェフの友情から生まれたご馳走ガレット

ガレットデロワが得意で、毎年1月にこのパイを焼くという小森シェフ。今回のサロン・デュ・ショコラでコラボレーションする、虎ノ門のベーカリー&ビストロ「Blanc(ブラン)」の大谷陽平シェフに、何度かプレゼントしたことがあったのだとか。このことがきっかけで生まれた「ガレットデジビエ」は、エゾ鹿やマガモ、フォアグラなどをあわせた大谷シェフ特製ジビエのファルスを、小森シェフのパイ生地で包んで焼き上げ、ブルーベリー風味のチョコレートソース仕立てに。

普段、クリームをはさむ甘いパイの場合は、パリパリサクッの生地にするのに対し、ガレットジビエ用には薄力粉と強力粉をブレンドし、野生的な肉々しさに負けない、バリバリザクザクッと食べ応えのある食感の生地を実現しています。

ガレットデロワはフランスの1月の風物詩。このジビエのガレットで、会場からフランスに思いを馳せてください!
※当日はBlancのパンのみ販売を予定しています。

【1月24日(日)出店】

ガレットデジビエ
(1人前)¥1,760(税込)

※画像は商談時のものです、実際の出展とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

※価格は全て税込みです。

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