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CACAO&酒

2021.01.19

チョコレート×お酒のマリアージュは、ボンボンショコラの偉大なるクラシック。けれど、チョコレートとお酒の甘い関係はもっとディープに進化しています。今回は、サロン・デュ・ショコラ(Salon du chocolat)のイートインで出会える、カクテルと日本酒が紡ぎ出すチョコレートの愉しみ方をご紹介します。

<bar&chocolate CACAOTAIL(カカオテール)>

カカオでカクテルシーンに新しい風を吹き込む
自家製チョコレートのペアリングバー

江戸の情緒が残る門前仲町。懐かしさをとどめた路地裏の住宅街に、パームツリーがそよぐ店がぽつりと1軒。扉を開けると、むせ返るようなカカオの芳醇な香り。店内はビターチョコレート色の調度品で整えられ、カウンターの上には、カカオニブのカンパリ漬けやウォッカ漬けの瓶が深みをたたえて鎮座し、どこかヨーロッパのサロン・ド・テのような雰囲気。

カカオ(Cacao)×カクテル(Cocktail)=「カカオテール」。2018年にオープンしたこの店は、チョコレートとお酒のペアリングや、オリジナルのチョコレートカクテルを愉しめるバー。しかも、使うチョコレートは、店主自らカカオから手掛けるビーントゥーバーなのです。 

店主の萩原陽介氏は、バーテンダーとしてキャリアを積むなかで、年配の男性客がウイスキーのおつまみにチョコレートを好むのを知り、その相性のよさに興味を持ったといいます。プロ向けのショコラの講習を受講するうちに出会ったのが、ビーントゥーバーの世界。「市販の製菓用チョコレートとは味わいがまったく違う」と、一気にのめり込んだのだそう。

とはいえ、萩原氏がチョコレート作りをはじめた6~7年前は、日本ではビーントゥーバーの黎明期。まだ専用の機械の入手も難しく、米用の唐箕(とうみ)をウイノワー代わりにカカオの外皮とカカオニブを選別したり、スパイス用ミルをメランジャー代わりにカカオをすり潰したり。「最初のうちは、焙煎の具合にしても目安が分からなくて」、試行錯誤の連続だったといいます。

現在使っているカカオは、カカオハンターズの小方真弓さんから仕入れる、コロンビアの産地別4種。カカオと砂糖だけでカカオ分73%に仕上げたチョコレートをベースに、チョコレートカクテルに仕立てたり、ミニタブレットや生チョコ、オランジェットなど、おつまみ用チョコレートを作ったり。「チョコレートの味の組み立ては、カクテル作りにおける味わいのバランス感覚が土台になっています」。 

パルミジャーノ・レジャーノのチョコレートサラミ(1人前) 1,100円

自信作は、「パルミジャーノ・レジャーノのチョコレートサラミ」。チョコレートらしい風味の「トゥマコ」を高めの温度で焙煎してカカオ感を立たせ、パルミジャーノ・レッジャーノとブラックオリーブ、キャラメリゼしたアーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、クッキーを混ぜ込んだチョコレートに。ナッツの力強い味わいのあとにカカオの風味が際立ち、ほどよい塩気でお酒が進みそう。赤ワインか軽くスモーキーなウイスキーが相性抜群!

チョコレートにあわせるお酒のペアリングは、カカオの風味からイメージした“色” にあわせるとしっくりいくという萩原氏。たとえば、レッドベリーやワインを思わせる「シエラネバダ」のチョコレートは「赤」のイメージなので、お勧めは赤ワインかポートワイン。軽やかで黄色がイメージの「アラウカ」なら、軽めのウイスキーやブランデーといった具合。

カカオテール(1杯) 1,760円

カカオテールのシグネチャーカクテル

チョコレートカクテルは、ボンボンショコラのイメージをカクテルに落とし込んでいるという萩原氏の言葉どおり、まるで飲むボンボンショコラ。

店名を冠した「カカオテール」は、王道のチョコレートとウイスキーの組みあわせを主役にしたカクテル。ウイスキーをベースに、アラウカのチョコレート、百花はちみつ、ミルクをあわせてシェークし、グラスに注いで生クリームをフロート。仕上げにオレンジピールを絞り、オレンジの香りをまとわせて。ミルキーなウイスキーの深くまろやかな風味に、ビーントゥーバーのチョコレートならではのフルーティーなカカオの風味が広がり、軽やかですっきりした飲み口の1杯です。

コロンビア ルージュ(1杯) 1,760円
※こちらのカクテルは、ノンアルバージョンもご用意しています。

グラマラス&キュートなカクテル「コロンビア ルージュ」
ベリーのジュレ入りボンボンショコラをイメージしたこのカクテル。「シエラネバダ」特有のレッドベリー系の酸味を生かすべく、少し低温で焙煎してチョコレートに仕上げ、カカオと同じくコロンビア産のコーヒーとラム酒をあわせてシェーク。国産ローズウォーターで香りをつけたラズベリーピューレを、ムース状にフロートさせて2層仕立てに。グラスに触れるだけで、ほのかに華やぐバラの香り。ちょっと多めに飲むと2つの層が同時に流れ込み、口のなかで味わいが完成します。

会場ではこの2つのカクテルのほかに、カカオの果肉を使った「カカオパルプミモザ」や、カカオニブのカンパリ漬けがベースの「イチゴとカカオのスプモーニ」という、“ザ・カカオ”なカクテルにも出会えます。ノンアル仕立てでオーダーできるカクテルや、カカオのハーブティーも用意してあるので、お酒が弱くても大丈夫。バーは敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、チョコレートつながりならトライできそう! 初心者さんも、まずはサロン・デュ・ショコラでバー・デビューを飾ってみませんか?

<神楽坂 ふしきの>

日本酒の粋なたしなみ方を提案する名店が贈る 
チョコレートと日本酒、器が織りなすマリアージュ

神楽坂の路地裏から続く、ジャパネスクな雰囲気の石畳の小路。ビルの2階にある店の敷居をまたぐと、ふんだんな杉材にコンクリートがアクセントを添え、ミニマルモダンでありながら温かみをたたえた調和の間。1枚板のカウンターの背後には、茶道の風炉釜が凛として佇み、一服の絵画のよう。思わず背筋がぴんと伸び、けれど気持ちがほぐれて寛げるのは、柔和な女将の存在も大きい。

ここ「ふしきの」は茶の湯の精神に基づいた和の食文化の殿堂。客を茶事の正客という位置づけでもてなし、客と旬の料理との、そして日本酒との一期一会を提供しています。創業者である旦那様の志を引き継ぎ、店を切り盛りするのは女将の宮下幸子さん。

創業者の宮下祐輔氏は、若い頃から日本酒の奥深さに魅了され、骨董や作家モノの器を蒐集するうちに、同じ日本酒でも飲む器の形状によって味わいが変わることに気づき、研究を重ねた人物。器、日本酒、そして料理長の荒巻氏の季節の京懐石が織りなす三位一体でもてなそうと、ふしきのを立ち上げたのは2011年のこと。店はその翌年から9年連続でミシュランガイドの常連で、国外にもその名を馳せています。

日本酒と料理のペアリングを謳うこの店では、季節の素材を使った京懐石のコース料理の1品1品にあわせ、日本酒が器と温度を変えて供されます。料理人の武田幸大氏が、酒と器のセレクト、温度調整を担い、料理にあわせて客の目の前で即座にペアリング。扱う日本酒は東北、北陸、九州など各地から。「料理とのペアリングなので、香りが控えめで、料理に寄り添うようなお酒が多いですね」と武田氏。

器と温度で酒の味わいが変わるという、新しい価値観

グラスでワインの味わいが変わるように、日本酒も器で表情が豊かに変化することを提唱してきたふしきの。器の形状が変わると口のなかへの流れ方が違うので、酸味や甘みなど味わいの印象も変わるのだそう。たとえば同じお酒でも、筒杯だとより芳醇に感じ、平杯だと酸味を感じてよりすっきりした味わいに。

また、日本酒は冷酒、常温、ぬる燗、熱燗と温度を調整することでも、自在に味わいを操れるといいます。「日本酒は味わいの幅が広いですし、器の形状で味が変わるのに加え、温度を変更できるというのがワインにない良さ。いろいろな可能性のあるお酒だと思います(女将、宮下さん)」。

生チョコレート最中×器・温度違いの日本酒ペアリング

今回のサロン・デュ・ショコラでは、店主がサイズや形状、厚みや角度をミリ単位で緻密に計算してデザインしたオリジナルの酒器で、日本酒×カカオ風味の和スイーツのペアリングをお披露目。風味が特徴的な3種のカカオを使った生チョコレートに、カカオの風味と相性のいい、“餡”に見立てたクリームをあわせて最中仕立てに。そしてそれぞれの最中にあわせて、3種の個性豊かな日本酒を器と温度を変えて提供します。

ハーバルでスモーキーな風味の生チョコ×竹炭で燻製香をつけたクリームチーズの最中には、25年物の大古酒をペアリング。フルーティーな風味の生チョコ×酒粕とフランボワーズ、白餡クリームの最中には、水の代わりに酒で仕込んだ、デザートワインのような味わいの貴醸酒をペアで。

ナッティーな風味の生チョコ×白餡、ピスタチオ、白味噌をあわせたクリームの最中には、熟成させてナッツのような風味をまとったお酒をブレンドしてペアリング。日本酒のブレンドとは珍しいですが、ふしきのでは料理にあわせて、基酒となるメインの味わいに別のお酒で香りを加えたり、味わいに強弱のニュアンスをつける場合などにブレンドをすることがあるそう。

カカオの香るホワイトチョコレートカステラ×濁り酒

台湾カステラのイメージで、バターの代わりに未脱臭のカカオバターを使用し、芳醇なカカオの風味を感じるミルキーでなめらかなカステラ仕立てに。表面にホワイトチョコレートでグラサージュをかけ、ミルキー感をアップ。カカオバターのリッチな旨味は、動物性のバターと比べてしつこくなく軽やか。「ホワイトチョコレートのややビターな風味を感じるので、ちょっと甘さのある濁り酒をあわせてご提供します(武田氏)」。

店名の「ふしきの」とは千利休が用いた表現で、 “思いがけないもの”、“今までにないもの”といった意味。また、禅語の「不識」にも通じる言葉だとか。サロン・デュ・ショコラの会場での一席で、ふしきのの提唱する“酒道”の真髄をお愉しみください。日本酒とスイーツの思いがけないマリアージュと、日本酒の新たな表情を発見する一期一会の体験になるはずです!

3種の生チョコレート最中と日本酒のペアリングセット
(1人前)¥3,300
ホワイトチョコレートカステラとにごり酒のペアリングセット
(1人前)¥2,640

※画像は商談時のものです、実際の出展とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

※価格は全て税込みです。

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